
子母澤寛の〔味覚極楽〕。
昭和58年発行のこの文庫本は数度の引越でも処分を免れ、今でも度々読んでいる座右の書。
著者が毎日新聞の記者時代の昭和初期に各界の著名人から聞き書きした連載物に、昭和32年、後書きを加えて龍星閣から出版された。
当時から〔種本〕としての人気が高く、古書店を探しても見つからないといった要望に応えた側面もあったようだ。
文庫本のページが変色して読みづらくなったので買い直そうとアマゾンを漁っていたところ、発行当時の状態が良さそうなのが(第二刷)が2,000円程度で売られていたのでポチった次第。

便利な世の中になったものだ。

巻末には筆者による詳しい注釈もあるのも嬉しい(文庫本では省略)。
新選組三部作や勝海舟でお馴染みの子母澤寛は北海道出身で、江戸人だった祖父は五稜郭籠城の生き残りとか。
生地である厚田郷土資料室の一角に著者ゆかりの筆記具や原稿用紙等が展示されており、以前稚内出張の折に立寄った事がある。コチラ

旧仮名遣いも味わいがある。といっても読めない漢字が相当ある。
文庫本は虎の巻として残しておこう。