味覚極楽


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子母澤寛の〔味覚極楽〕。
昭和58年発行のこの文庫本は数度の引越でも処分を免れ、今でも度々読んでいる座右の書。

著者が毎日新聞の記者時代の昭和初期に各界の著名人から聞き書きした連載物に、昭和32年、後書きを加えて龍星閣から出版された。
当時から〔種本〕としての人気が高く、古書店を探しても見つからないといった要望に応えた側面もあったようだ。

文庫本のページが変色して読みづらくなったので買い直そうとアマゾンを漁っていたところ、発行当時の状態が良さそうなのが(第二刷)が2,000円程度で売られていたのでポチった次第。

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便利な世の中になったものだ。

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巻末には筆者による詳しい注釈もあるのも嬉しい(文庫本では省略)。

新選組三部作や勝海舟でお馴染みの子母澤寛は北海道出身で、江戸人だった祖父は五稜郭籠城の生き残りとか。
生地である厚田郷土資料室の一角に著者ゆかりの筆記具や原稿用紙等が展示されており、以前稚内出張の折に立寄った事がある。コチラ

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旧仮名遣いも味わいがある。といっても読めない漢字が相当ある。
文庫本は虎の巻として残しておこう。

2015年08月17日 | Comments(0) | Trackback(0) |

西丸震哉 原始感覚の世界

2年前(2012年)5月の事。

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25歳の時に〔山小屋を造ろうヨ〕という本に出会い、7年間かけてセルフビルドしたログハウスがもはや修復不可能な状態となり、地主から言われて解体を決断した直後、西丸震哉氏がこの世を去ったのを知った。

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定期的に書店に出向いては西丸氏の著作データをプリントしてもらい、新刊・再刊があれば注文する、という状況が10数年間続いただろうか。
古書店で見つからない書籍は図書館から借りて読み耽ったものだった。

こじつけになってしまうけれども〔初めと終わり〕が一致したという事に、妙に納得したものだった。

さて、時々拝見している 西丸震哉記念館のHPに記念集の案内が出ていたので早速購入した。

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未発表の連載物、作曲集、写真、絵画、受賞対象論文、著作リストといった構成で、初めて目にする内容多数。

〔栄養と料理〕に1971年の1年間連載された〔ぼくの人類食物史〕も初出。
巻末に館長の杉原保幸氏が書かれていたとおり、台湾・インド・ニューギニアの現地探査で得た数々の事柄が後に〔食生態学者〕として幅広い展開を見せるのだが、その確信に満ちた筆致たるや、いきなり〔海はドブである〕からスタートする〔食生態学入門-1980年〕と同様の刺激を受けた。

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ザックを背負って文明と未接触のニューギニア食人族に会いに行くという、一見無謀とも思える探査行はあくまでも自身の発想・仮説を裏付けるという手段に過ぎず、そのスケールのデカさも西丸氏の真骨頂。

第2章〔著作の中の名文集〕は側近の2名が選んだもので、ファンにすればお馴染みのものばかりだが、串田孫一の解説文も含まれていたのが興味深かった。

第3章は、1994年に刊行された〔西丸震哉作曲集〕の中から楽譜の大半(全て自筆)がそのまま収められている。

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この〔作曲集〕は2,800円安くはなかったので、それほど売れなかったのではないか。
今回、プラス500円で〔作曲集〕附属のCDが付く(但し限定50部)そうなので、併せて注文される事をお勧めしたい。

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HPより)
第4章以降は世界各地への探検記録写真や自身の絵画が多数。
殆どが今まで目にする事がなかっただけに見応え充分。

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名著〔ニチャベッタ姫物語〕の表紙に使われた水彩画。

うろ覚えだが、何かの本に〔自分が死んだら何らかのメッセージをテレパシーで送信するのを今から約束しておく〕というのがあった。
遠く離れたインドから念力を送信して自宅のピアノを鳴らす寸前までやるような方なので、時々思い出しては待っていたのに一向にそれらしい感覚がなかった。
今回の刊行物によって亡くなった事をやっと実感したという手合いだから、〔ソレ〕をキャッチ出来るのはもっと先の事なのかも知れない。


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2014年08月13日 | Comments(0) | Trackback(0) |

西丸震哉の最新刊

ここ10年来、新刊は出し続けているものの、どれも過去の著作からの引用が殆どで目新しさが感じられず、お元気でいらっしゃるだけでも充分だろう、という気持ちだったのだが、久々に内容の濃い著作が出た。
とりあえずは山渓の担当者氏に感謝。

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(にしまる しんや)
以前、この人の本を読み漁った時期があり、「今さらジタバタしたって仕方ないじゃないか」といった、ある意味投げやりというか諦観めいた性格は、この人の影響が大きい。
古本屋に問い合わせて絶版になった著作を可能な限り収集出来たのが密かな自慢。
結婚後、もし男の子が生まれたら名前は当然「しんや」だ!さしずめ「森哉」が良かろう、などと勝手に決めていたほどだった。
引越しの度に本の置き場所がなくなり、今は仁木町の山小屋に放置したままなのだが、当の山小屋が完成出来たのも「山小屋を造ろうヨ」があったからこそ。
この本は、自分にとっては真ん中あたりの2~3頁が全てで、本を閉じるとそこだけ手垢で変色しているという具合。

西丸


昨今は「41歳寿命説で有名な例の人」というのが一般的なようで、唐沢俊一氏みたいなのが「トンデモ本」に入れちゃってる始末だ。
過去に「ノストラダムス」の著者と共同執筆したから世評が辛くなるのは致し方ないか。

本来の研究対象である「食と人間」よりも、未開部族を訪ねる探検記や山歩きのエッセイ、自身の神秘体験といった類を、私はこよなく愛する。
西丸節は辛辣でユーモラスなので飲みながら読むには最高なのだが、既に多くが絶版となっており、入手困難なのが残念だ。
SF小説は「ニチャベッタ姫」よりも「提督からの手紙」のほうがイイ。

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「壊れゆく日本へ」 山と渓谷社刊 税込1,680円。
論調そのものは30年前から基本的に変らず、似たような「警告本」は他にも出ているので中身にはあえて触れない。後半で「西丸節」が健在なのが嬉しかった。

1923年生まれの85歳。
よく見る「関東大震災と同時に生まれた」という著者紹介は実は間違いで(この人の事だから、そう書かせているフシもあるが)、本人によれば、グラッと来た時に産気が引っ込み、1週間粘ってようやく出てきたとの事。
名付け親は洒落っ気のある祖父で、震災をもじって「震るえる哉(かな)」。
哉は(さい)と読める。
難破して日本に漂着したたノルウェーのバイキング船長を先祖に持つ。
「地球寒冷化説」を根強く唱え続ける数少ない1人でもある。
2008年05月17日 | Comments(2) | Trackback(0) |

魚菜 「料理大事典」

3月23日(日)。
昼食の後、平岡の「BOOK‐OFF」に行く。
別行動で私は池波正太郎のエッセイを3冊買い、合流して絵本探し。
長女の時は「グリとグラ」以外、ほとんど古本屋で揃えていたように思う。
マメに探すと世に「名作」と謳われている物も結構見つかるものだ。
「うさ子ちゃん」(ミッフィー)の奥付を見ると妻が生まれた年に出版されていたりする。
一体どんな子がこの本で育ち、どんな親の愛情を注がれて成長したものかと思いを馳せる。
ややくたびれた装丁に色々なエピソートが潜んでいる事を感じさせてくれるのが古本の良いところ。

絵本探しの合間に料理本コーナーを眺めていると赤い箱に入った巨大な本が2冊。
「料理大事典」とある。
ただならぬオーラを発していたので2冊抱えてレジへ持ち込んだ。
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田村魚菜・田村千鶴子共著 魚菜「料理大事典」
田村魚菜は名前を知っている程度で、かつてテレビの料理番組でも活躍されていたらしい。
私は土井勝ぐらいしか知らないし、料理に興味を持ったのは丸元淑生の文庫本による。
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執筆に10年を要し、項目6百数十種、料理は二千五百種のオールカラーという大作。
「こんな大料理事典は日本にかつてない。おそらく今後も出版されないだろう」と、自ら前書きに記している。
確かに大作だ。風呂場のヘルスメーターに乗せたら4キロあった。
料理に対する心構え、道具の択び方に至るまで、一般の主婦に親しんでもらえるよう、平易且つ懇切丁寧に書かれてある。
家庭の台所を預かる主婦の料理指南書としてはこれ以上の物はないだろう。
しかし、実際どれだけの主婦が実用書として役立てたものかと疑問に思う。
私ですら持て余すこの重さだ。

2冊買ったので、さてもう1冊は?と開いてみたら全く同じ本ではないか!画像 110

確かに「上巻」「下巻」の別がない。これには笑ってしまった。
1977年の発売当時に定価が18,000円のこの本が、古本屋でこの値段というのには泣かされる。
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ともあれ大著である。略歴を見ると「本山荻舟に師事」とある。
さもありなん。飲食事典と併せ読むとしよう。
1冊は車のトランクに忍ばせて出張先で眺めるとする。燃費に影響しそうだが。

意外にも「魚菜」というのは本名。
2008年03月25日 | Comments(8) | Trackback(0) |
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