仕事を終えて家に着いたのが17時半。
慌しく着替えをしていると山妻に笑われる。
「今年も同じ格好だ」と呟いたらしい。
ドニチカ切符を買い、会場の東急インに駆け込んだのが開始5分前だった。

現在の顧問の卒業生が別にOB会を組織していて、何とか一緒になれないものかと交渉中。うまく事が運べば次回のOB会に参加してくれそうな雰囲気だ。
同じ高校なのだからやはり一つになるべき。

空きっ腹にビールが効く。

坊主頭の剃り跡が青々と、如何にも僧侶然とした人が実は「よしき先輩」だったり、物腰が妙に落ち着き払った隣席の5期後輩が本物の僧侶だったりする。
卒業後の人生は色々。
自分の前後5年間、つまり10年のスパンなら何とか話が通じる。
代々伝わる武勇伝であるとか、30数名のA編成で全道大会金賞を取った後輩とか・・・。
今年は例年になく参加者が少なかった分、じっくり話が出来て実に幸せなOB会だった。

翌日も早朝から仕事なので真っ直ぐ帰宅する。
東急インを出て間もなく、人通りを縫うようにしてオッサンが近づいてくる。
ははぁ、去年と同じアレだな。
どうやらこの辺りは客引が盛んな場所らしく、いかにもポン引きといった風体ではないから紛らわしい。
「俺、こう見えても地元の人間なんだよね。あ、あと2~3分で地方から来たオッサン達がポロポロッと出て来るから行ってみたら?」
するとオッサン、素直に東急インへ歩いて行った。
先輩達からヤキが入れば面白いのだが。