合奏に参加出来る回数を数えるとあと幾らもない。
日曜の合奏日が出張移動日と重なる事が多いので、去る4月にYAMAHAのサイレントブラスを購入した。



ミュート本体にマイクが仕込まれていて、収音した演奏音にエフェクト信号処理を施すモジュール「パーソナルスタジオ」を通してイヤホンで聴くと本物そっくりの音で吹いているように聴こえる。
しかも残響効果を付加するとアラ不思議、まるで一流奏者のような深みのある音色に変化し、ひょっとして自分は天才じゃないかという倒錯した世界に引き込まれてしまう。
コリャまずいぞ、と、バーチャルな世界に体が拒否反応を示す。
こんなの使ったら練習する意味がないぞ、と。
音のエネルギーが減衰させられる分、「吹奏感」が犠牲になる。
いかに少ない息の量で効率よく楽器を響かせるか、鳴りの悪い特定音域をいかにきちんと鳴らすか、というのが日々の練習では大切な事なので、弱音ミュート本来の目的=専ら運指の練習に勤しむのが本筋なのだろう。
プラクティスミュートの品質はいかに音程を損なわずに消音効果を得られるかが勝負で、その点YAMAHAのサイレントブラスはミュート単体としてもかなりの優れものじゃないかと思う。

出張先にて。
楽器ケースとミュート、譜面台、楽譜でかなりの荷物になる。
長ネギなら折って隠せるが、ユーフォニアムのハードケースはスーツケース並みにデカイので騙せない。で、フロントの人に前もって仁義を切る。
『こんなデカい金管楽器だけどミュート付ければテレビ並みの音量しか出ない、せいぜい夕方の2~30分だから迷惑は掛けない。今の処、他のビジホは認めてくれています』。これで通してもらっている。
部屋で飯を炊く40分、朝茶を啜って出掛けるまでの10数分。
とりとめもなくプップカプップカやっている。