ホテルの斜向いに雰囲気のある中華料理店があったのでとりあえず入ってみる。

中国料理東春(とんしゅん)。 かなり古い店のようだ。

このショーケースがいい!

鳥ラーメン(714円)
テーブルに置かれた途端、濃厚な鶏ガラスープが香り立つ。
かといって塩味が強いわけでもなく、荒れた胃に優しい感じ。麺は平凡。
さて、腹拵えが済んだので、懸案の尤敏(ユーミン)で辛いのでも食べて早めに寝ようと思っていた矢先、目に見えない何者かが耳たぶをグイと掴み、海の方向に向かって進む。
痛いのでオットットットという調子で連れて行かれた先が「ホテルパコ」。

中国料理 レストラン桂林
一緒に仕事をしている地元の人が懇意にしている店で、「私、中華屋に行ってもラーメンしか食べませんから」と伏線を張ると「イヤ、ラーメンも美味いんだ!」と、店長の名刺をコピーして寄越す。
明日の仕事中に必ず「行ったか?」と訊かれるだろうから行ってみた。

醤油ラーメン(680円)
この店は初めてではなく、7~8年前はこのホテルが定宿で何度か朝食を食べている。
地域性とは無縁のオーソドックスなラーメンでした。
さて、宿に戻る途中、脇道の彼方にローソンが見えたので暗がりを進んでいくと。。。

何と! 大森町にあるので大盛屋?
言いようもない驚きと嬉しさとでたまらずに引き戸を開ける。
間口僅か1間(1.8m)にカウンタ席と厨房、といっても中小の鋳物コンロが1つずつ。
80を越していそうな婆さんがヨタヨタと切り盛りしている。
40数年前からやっているそうだ。
入り口近くに先客1名。革ジャン茶髪の30男がビールを飲んで携帯をいじっている。
狭い店なので1メートルも離れていないわけだが、声をかけたくても、「さりげない言葉」が思い浮かばない。
麺を丼に入れてスープを注いだ後、冷蔵庫から具を出し、足元の煤けた鍋からチャーシューを出し、全て載せ終わるまで3分。

塩ラーメン(400円)
大盛ではないが麺の量は多目。
若者がチリメンジャコを炙ったのを食べ始めた。
お金を払って立ち上がったら声をかけられる。
「おじさんってさぁ、ラーメン関係の人?」
「いや、ブログに書いてるだけさ」
「俺さ、15年前からここに来てるんだよね」
暗がりにひっそり佇む秘境の食堂。まさに絵に描いたような世界。
こんな逆転ホームランが待ちうけていたとは。
函館は奥が深い。