以前から気になっていた懸案店に向かう。

嵯峨野
国道12号から少し入った目立たない場所だが、向かいにはサツドラがある。

小春日和にポットストーブの放射熱が心地良い。
集合テーブル席には定年間近と思しきサラリーマン客が無心にラーメンを啜り、奥の小上がりでは頭にタオルを巻いた若い作業員がスポーツ新聞を大きく広げて鍋焼きうどんを待っていた。
客間に匹敵しそうな広い厨房では仲の良さそうな老夫婦が立ち働いている。

40年以上前から続いているというブログ記事を見たが、主人30年以上前からだと言う。
言質を取られたはずの主人から直接聞いたのだから間違いない。
この界隈で一番古い食堂であるのは確かだし、たかだか10年程度の違いは誤差の範囲としておこう。

正油ラーメン 550円。
麺類各種、丼物など幅広くやっている「食堂」なので、麺もスープも例えば西山の汎用タイプなのだろうと思ってスープを一口。
醤油がやや強めで鶏ガラが効いており、ニンニクは隠し味程度。
それでいて旨味調味料はさほど感じられないという、良い意味で不思議な味わい。

細く柔らかめの麺は珍しい。自家製麺とは思えないので訊いたところ、ごまそば遊鶴(旧鶴喜)を展開している橋本製麺のもので、ラーメンはウチ1軒だけとの事だ。
その話を聞かされた途端、美味いかしわ蕎麦を手繰っているような錯覚がスープを飲み干すまで続いた。
モヤシを抜いて蕎麦を泳がせたらそのまま〔蕎麦〕で通用するかもしれない。
そう思うと妙に納得してしまうという、不思議なラーメンだ。
几帳面な主人は細身で若く見えるが80を過ぎているようにも思える。

日祝が定休日で土曜日は営業している。

隣接するレンガ倉庫。外壁がモルタルで埋められて残念。
昔はあちこちで見られたものだ。