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函館の陶陶亭

先月の30日、当ブログに函館の情報誌「peeps hakodate」よりコメントを頂いた。
2月号で函館中華の歴史を辿る特集を企画しており、陶陶亭が営業していた頃のカラー画像が見つからず、過去ブログに上げた正門の画像を引用したい由。
こうした事を地元の方からから頼まれるというのはとても光栄な事で、すぐに了承の返信をした次第。
Exiteブログの画像はサイズが大きいので印刷するのに都合が良かったらしい。
それにしてもよく探し出したものだ。

DSC02586.jpg

2月13日、冊子が自宅に届いた。
フリーペーパーとは思えない緻密な構成で、読み出したら面白くて止まらない。
38頁にも及ぶ今回の特集を読み切るまでに30分以上要した。

正門

今回引用された12年前のブログ画像。
内容が〔チョンの間〕のレポートとなっていて、狙ったわけでもないのにずっと上位にランキングされている人気記事。

昭和12年創業の中華料亭・陶陶亭は平成元年に閉店し、3年11月に火事で全焼。
かつてそこで働き、後に独立した従業員の店が代替わりしながら何軒も存在している。

焼け残った正門は会社所有の建物の前に置かれ、誰も手入れしていなかったようで通る度に傷みが進行しており、そのうち見なくなった。
〔函館家〕左手から高砂通りに抜ける途中に置かれていたはず。

店の場所を確認したくなり、保存してあった地図画像を元に確認。

昭和15年大門漫画2

昭和15年の大門漫画地図より。陶陶亭は中央上部のやや右側。
店の裏手(駅側)に〔鰻のはいや〕がある。

はいや 2006

2006年撮影。創業当時からの建物と思われる。
話のタネに寄ってみると〔飲食は別な場所にあり、今ここは仕込み専門です〕と言われ、裏手の王さんで夕食を済ませたのだった。
77年続いた老舗のはいやは2009年に倒産して建物は解体され、陶陶亭の流れを汲む王さんも後を追うように閉店してしまった。

昭和36年 駅前・柳町方面

昭和36年の地図より。
見ずらいが、一番下の中央に津軽屋食堂があり、陶陶亭はその真向かいにあった事が判る。
津軽屋が一部のブログ等で昭和40年創業と書かれているのは現経営者?が店を引き継いだ年に由来するらしい。

昭和47年大門地図

こちらは昭和47年の地図で中央やや上の⑱が陶陶亭。
既に半世紀近くも前で、殆どの店が残っていない。
余談になるが20数年前、彩華デパートの建物が残っていた頃の記憶では森文化堂の斜め手前だったのが、実際はグリーンベルト沿いだった(現在はパチ屋)。

松風町史47年

こちらは丸南本店で見せてもらった松風町史の地図。上の地図と同じ版元のようだ。
陶陶亭の右上に王さん紅蘭が認められるが、紅蘭って王さんの裏手だったか?
現在の「居酒屋てっ平」辺り。建物はそのままかもしれない。

この地図上なら〔ニューフロリダ〕辺りだったと記憶しているので後に移転したのだろう。
昭和25年創業の紅蘭は大門で営業していた頃に店の権利を出口製麺に譲り、昭和38年に鳳蘭と名を変えて現在の場所に店を構える。

(後記:高砂通りと柳小路の2店舗でやっていた時期があったようだ)

陶陶亭 モノクロ

大森一番通りの角辺りで撮影したものと思われる。 右下の白い建物が陶陶亭。
一番通りを大森方面に進むとすぐに焼き鳥のごんちゃんと滋養軒
残った立派な正門から、広大な庭付きの料亭をイメージしていたのだが、実際は違っていた。

DSC02921.jpg

20180601撮影
やはり大盛り一番通りの入り口だった。
陶陶亭のあった場所は14階建てのホテルが建設中。

陶陶亭 カラー

ホンダシビックの型式から昭和60年前後の画像か? 撮影地点は長月の辺りか?。
建物全体の雰囲気が判るという点でも貴重なカラー写真だ。

DSC02920.jpg

20180601撮影
電柱が同じ位置なら大門横丁の入り口付近。
赤ちょうちんは建物も当時のまま。


今回使用した多くの画像は函館のおぢさん2的ブログより引用。
マロのご主人は惜しくも昨年6月に亡くなられた。
お会いした時に無断引用を謝っておいたので、あの世からお叱りを受ける事は無いだろう。
訊きたい事は色々あったが、一度でも話が出来て良かったとつくづく思う。

初めての函館出張が平成3年の秋口だから、陶陶亭の建物を見る事は可能だったはずだ。
しかし当時20代だった独身の夢見がちな青年はそうした事に興味を持つわけもなく、しかも泊まったのが昭和の〔きたぐに〕という安宿。夕食は近場の居酒屋で済ましており、そもそも駅前には行っていない。

出張で年間20日間ほど滞在するようになったのは平成11年から。
棒二最上階の食堂からの眺望の良さに気付いたのはかなり後になってからの事で、もっと早く気付いていれば函館駅前の魅力であった独特の猥雑さが失われていく様子を記録出来たのに、と悔やんだものだが、そんな自分も何時の間にかあと何年函館に来続けられるかを容易に計算出来る年齢になってしまった。
時が経つのは早い。






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2018年02月13日 | Comments(4) | Trackback(0) | ラーメン 道南
コメント
No title
何度かコメントさせて頂いてます。(名前を失念してしまいました)もやは30年以上の東京暮らしですが、時々函館に帰省してます。いつも帰る度に変化と衰退を感じます。またこのブログも貴重な情報源となってます。(函館以外もですが)

ところで懐かしい写真ですね!特に(やまたつ)はいやは本当に懐かしい。私の中で函館はいつまでもモダンで活気がある街なんです。
また機会があれば是非とも懐かしい記事をお願いいたします。

PS.しかし地元に写真がないというのもどうなんでしょうね。
Taka URL 2018年02月14日 21:03:37 編集
No title
お久し振りです。
以前紅蘭の件でコメント頂いた方ですよね?
一旦更地になってしまうと記憶だけが頼りになってしまってあっという間に風化してしまうものです。
デジカメ普及以前はせいぜい人物入りの記念撮影が一般的で、ネット検索でヒットするようなものでもないようですね。
そうした意味でも、はいやの画像はそこそこ貴重ではないかと思います。
funfunfun409 URL 2018年02月15日 13:03:41 編集
No title
>以前紅蘭の件でコメント頂いた方ですよね?
そうだと思います。(汗)他にも何度かやりとりをさせて頂いてました。
おっしゃるように私のようなモノには特に貴重です。はいや以外もです。ちなみにはいやは、川魚料理(鰻や鯉)がメインでしたが、鳥の半身揚げ、茶碗蒸しも非常に美味しかったです。店内に池もあったと思います、子ども時代の記憶ですが。

また函館に限らず美味しそうな写真やご日常のUPも楽しみにしてます!
Taka URL 2018年02月15日 20:34:40 編集
No title
次回の出張では一番通り近辺を散策してみたいと思います。
男澤商店近辺の雰囲気もかなり変わっているようですね。
funfunfun409 URL 2018年02月17日 06:15:45 編集

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